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林業少年

林業少年

新日本出版社から刊行されました、「林業少年」(堀米薫氏著)の装画、挿絵を描きました。

「百年杉……、こいつは、確かに生きている」

山持ちとして代々続く大沢家の長男・喜樹は、祖父・庄蔵の期待を一身に受けていた。家族から「干物」と陰口をたたかれる庄蔵だが、木材取引の現場では「勝負師」に変身する。冬休み、百年杉の伐採を見届けた喜樹は、その重量感に圧倒された。「何十年後かの山の姿が見えている」という庄蔵が、喜樹には「山の仙人」に見えた。


新日本出版社のサイトより引用しました。

林業が脈々と育て受け継ぎ維持してきた日本の山の姿を知り、そして現在の林業の現状を知り、姉弟が家族とともにそれぞれ山に向き合ってゆく物語です。

物語を読ませていただき、私が夏休みのたびに遊びに行っていたいとこの家のことを思いました。
いとこの家は、林業を営む、山に囲まれた大きな家で、お盆になるとおじ、おば、いとこたちが大勢集まって合宿状態になってそれはにぎやかで楽しかったのでした。
川に釣堀を作ったり、ログハウスを一人で建ててお蕎麦屋さんをやったりもして、夏はそれらの営業もあって、大変忙しい家でもありました。
現在、いとこたちは大人になりましたが、みんな仕事を持ったり家庭を持ったりして家を出ています。
主人公の喜樹の家と同じ、高齢のおじがひとりで山を管理している状況です。

思えば、私はおじの釣堀やログハウスは見ていたものの、山の仕事に関しては一度も見たことが無かった、山に入ったことが無かったことに気がついたのでした。
喜樹の祖父がひとりで守る、また私のおじがひとりで守っている山の姿というものをもっとリアルに知りたいと思い、絵を描くにあたり、おじにお願いして取材させてもらうことにしました。

おじに物語の概要を伝えると、「それはうちと全く一緒だ!」と。
安価で輸入される木材などの影響で、ここ数十年の間に日本の木材の値段は激しく下落して、林業が産業として成り立たない域にまで達しているという現実に直面しているのは、物語に出てくる山だけではなく、日本のどこの山でも同じだということ。
私は子どものころに、山の木々は先祖代々から受け継がれてきた財産なのだと教わっていて、そしてそれは文字通りの意味でした。
いつの間に、木を切り出せば切り出すほど赤字になるような状態に変わってしまっていたのか。
おじに林業の現状を詳しく聞いて、驚きを隠せませんでした。
おじの家の周りの林家はみんな山に手を入れることをやめてしまったそうです。
おじは高齢にもかかわらず一人で山に入って仕事をしていますが、さすがに機械が入れられる範囲の山しかもう管理をしていないということでした。

R0017422.jpg

おじに取材させてもらって、もうひとつ驚いたことが、山の作業が物凄くかっこいい事でした。
ひらりひらりと軽い身のこなしで数々の重機を乗りこなし、大きな丸太を山から切り出すおじの姿!
ワイルドすぎる!かっこよすぎる!

しかし想像以上に大掛かりな作業をおじひとりでこなしている事実にも驚かざるを得ませんでした。
(驚いてばっかり)
私なんかは山中をちょこっと移動するだけでも四苦八苦でした。
林業の山は登山の山とはまた全然足場の状況が違うのです。
こんな過酷な重労働をおじもいつまで続けていけるのか。
おじの山はどうなってしまうのか。

取材させてもらって、私が得たものは大変大きかったです。
日本の山に対する物語の中の喜樹の祖父の想い、そしておじの想い。
少しでも絵の中に込められれば……と思いながら、絵を描きました。

物語は日本の林業の危機的状況を訴えるだけではなく、今の山に向き合っている、林業に携わる様々な人々の姿が描かれています。
先祖が未来の山の姿を想いながら育んだ木々を伐採し、また未来を想って樹を植え育てていくことのつながりで成り立っていく日本の山。
多くの方々にこの物語を読んでいただきたい、そして日本の林業を知り、日本の山について想っていただきたいと願っています。
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