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テッドがおばあちゃんを見つけた夜

テッドがおばあちゃんを見つけた夜

5月18日に徳間書店さんから発売になりました、『テッドがおばあちゃんを見つけた夜』(ペグ・ケレット氏著・吉上恭太氏訳)という本の装画、挿絵を描かせていただきました。

中学一年の少年テッドは、両親とアルツハイマー病のあばあちゃんと四人で、小さな町に暮らしている。ある日、町で銀行強盗事件がおきた。犯人は、銃を持ったまま逃走中だという。ところがその日の夜、テッドはおばあちゃんと留守番をしているあいだ、銀行強盗とそっくりな風貌の、あやしい男に出くわしてしまった。テッドは男にむりやり車に乗せられて……。男はいったいだれ? テッドは無事逃げられるのか? 置きざりにしてしまったおばあちゃんは?


徳間書店さんのサイトより引用させていただきました。

こちらの本のお仕事は3月から始動したのですが、カバーのラフを描いたくらいの時点で震災がおきてしまいました。
世界がまるで変わってしまったようですっかり茫然となってしまい、再び絵を描き続けるために気持ちを立て直すのに大変な思いをしたというのが正直なところの一番の思い出です。
途中まではとにかく必死に手を動かしていたという感じだったかもしれません。
震災の直接的被害に加え、余震や停電による混乱のなか、常に平常心を保ってらした編集者の方(私よりもお若い女性です)のおかげで、なんとか私自身もちなおし、「この状況下でほんとに描くの?」という半信半疑な気持ちから、「描かなきゃ」「描こう」という気持ちにまで引き上げていただきました。

この時期、こちらの編集者さんをはじめ、たくさんの編集者の方とコンタクトを取らせていただいていたのですが、皆さん大変な中で必死に、それでも平常どおりにお仕事をされていらして、その姿勢から大変なエネルギーを頂いておりました。
そのおかげでなんとか身を正してゆけました。
ほんとに、皆さんにお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです。

話が逸れてしまいました。

今回はカバーイラスト表と裏に1点ずつ、本文中は扉、もくじに1点ずつ、挿絵6ページ、カット13点、計23点絵を描かせていただいてます。

お話の主人公はもうすぐ12歳になる男の子です。
同居のおばあちゃんがぼけてしまっていたり、いきなり車に乗った男に誘拐されてしまったりと、ここだけみればとてもシリアスな状況なのですが、いじめっ子がみょうに間抜けだったり、犯人の男が特殊な事情を抱えているせいでなんだか隙があったり、テッド自身も幼いなりにも打開策を講じて行動するのですがそれがちょっとあまりに未熟だったりして、深刻ながらも、どこかのんびりしているというか、ぬけているというか、大人の私が読むとあちこちつっこみを入れたくなってしまうようなストーリーなのです。
スリルとほのぼのと感動を一緒に楽しめるという、言ってみればなかなか欲張りなお話かもしれません。

おばあちゃんは今はアルツハイマーの症状が出てしまっていて目が離せないような状態ですが、まだ症状のなかった頃、大変魅力的で素晴らしい人柄で、主人公のテッドとも素敵な関係を築いていました。
それだけに現在のおばあちゃんに大変な悲しみといらだちを感じるテッドでしたが、事件をきっかけに、たとえそんな状態になってしまってはいても、自分が大好きだったおばあちゃんであることには変わりはないと実感できるようになるというところがとても心温まります。
というか、私もボケが始まる前に家族に愛されるような素晴らしい人になっておかなくては!なんて変な焦りが生じたりいたしました。
テッドに共感するというより、むしろテッドのおばあちゃんに生き方を学んだというここちさえいたします。

正しいと思ったことにまっすぐであること、勇気をもって行動することの素晴らしさを実感できる、素敵な物語です。
小学校中学年くらいから(本が好きな方なら低学年から読めるかもしれません)、大人の方まで、皆さんにぜひ読んでいただきたいです。
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