2013年07月

アサギをよぶ声

アサギをよぶ声

偕成社「アサギをよぶ声」(森川成美氏著)に絵を描きました。
装画と、あと本文にカラー別丁扉を含め大小14点の挿絵を描いています。

女性でありながら戦士になりたい少女アサギ。彼女の父も勇敢な戦士だった。素直な語り口で一人の少女の成長を描く長編ファンタジー。


偕成社のサイトより引用しました。

縄文時代を描くのは初めてで、いろいろ調べてはみましたが、わからないことも多くて……。
一生懸命想像して描きました。
主人公は「アサギ」という名前で、しかもタイトルでもあるので、今になって思うと、もしかしたらあさぎ色を使うべきだったのかもしれませんが、なんか、私の中の縄文のイメージが朝焼けの早朝だったのと、アサギの強さを出したかったので、こんな赤々とした絵になりました。

アサギは弓矢の特訓をすることによって戦士になろうと試みていて、物語を通して弓矢が大変重要アイテムなのですが、私は弓矢についての知識も乏しく、著者の森川先生からも助言をいただきながら描かせていただきました。
以前より弓道に大変憧れを持っていたので、弓を引く姿を描くことができるのがとっても嬉しかったのですが、反面まったく未経験なのも手伝って、自分の中の弓矢に対するイメージがいかにあやふやかが今回よくわかりました。
どこかで弓矢体験したいなあ~。

自分の道を拓こうとストイックに努力や工夫を重ねてゆくアサギが大変魅力的です。
そしてそれを影で支える戦士ハヤも、ものすごく素敵な大人です。
そして、ハヤに「もののみかた」を学び、論理的にものを考えるようになってゆくアサギに、大変目が覚めるような思いをしました。
努力を尽くして最高の結果を出してもなお、理不尽な理由から認められず道が切り開かれなかったとき、その現状をどう受け入れてどう進んでいったらよいのか。
どんな人でもこんな状況に置かれたら生きる希望をなくしてしまいそう、徹底的に心が折れてしまいそう、と思うのですが、アサギはハヤの教えから、
「自分の力で変わることが出来た自分を信じることができる」
と、自分自身に希望を見出すことで、状況を受け入れ、前向きに生きていこうとします。
なんて素晴らしいんだろう……。

自分を信じることが出来るというのは、やはりそれ相応の努力をすることが出来た自分という事実があるからなのであって、自分に厳しく努力を惜しまないということは、結果を追求するということだけではなく、なによりそれを成しえた自分自身を信じる力になるのだなあということに甚く感心したのでした。

物語のあちこちに、この縄文のむらが抱えている状況や社会的矛盾の情報がちりばめられていて、今後の波乱を予感させます。
そしてアサギのこれからも、アサギの技量、ものの考え方からして、このままではおさまらないであろうということをひしひしと感じられます。
続編が待ち遠しいです……!
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神津恭介、犯罪の蔭に女あり:神津恭介傑作セレクション2

神津恭介、犯罪の蔭に女あり: 神津恭介傑作セレクション2 (光文社文庫)

光文社文庫「神津恭介、犯罪の蔭に女あり: 神津恭介傑作セレクション2」(高木彬光氏著)のカバーイラストを描きました。
↓「神津恭介、密室に挑む」に続くセレクション第2弾です。

神津恭介、密室に挑む: 神津恭介傑作セレクション1 (光文社文庫)

今回も、1巻に引き続き「ザ・名探偵」ふうみが出るように、
「探偵といえばやっぱりトレンチコートでしょう!」
ということで描いてみました。
ちょっと事件の猟奇的な雰囲気も出るといいなあと思いつつ。

1巻めも女性がからんでくる事件が多かったのですが、今回は副題の通り、全編に妖しくも美しい女性たちが登場してきます。
神津さん、女性に対して結構厳しい目を向けていることが多くて、
ひょっとして神津さんは女嫌い……??
と思ってしまうほどでした。
(気になって調べてみましたけど、結婚もしているし、特にそういうことは無いらしいです)

1巻に引き続き、神津さんファンのかたはもちろん、ご存じなかった方にもぜひぜひ!手にとっていただきたいです。

小説新潮 2013年 06月号

小説新潮 2013年 06月号 [雑誌]kasa.gif

新潮社「小説新潮 2013年6月号」掲載の白河三兎氏の短編小説「手の中の空白」の挿絵を一枚描きました。
2月号掲載の「手の中の空白」で登場したタージこと田嶋さんが再び登場しています。
タージ大好き!なので、再会できてとても嬉しいです。

今回も日常のなかの小さなミステリーを、変人だけどなんか憎めない、なおかつ大変な観察眼で頭脳冴えわたる、一本筋の通った女(と私は思っている)タージが鮮やかにさりげなく解決してみせています。
今回もタージは友達がいなくてひどい扱いをうけているけど、とってもかっこよかった!
そしてタージのことをわかってくれる人が少しずつ増えていっているのが、タージ応援団としては大変嬉しいです。

またぜひともタージの物語を拝読いたしたいです。

サンゴレンジャー

サンゴレンジャー (朝日文庫)

朝日文庫「サンゴレンジャー」(さかいたまき氏著)のカバーイラストを描きました。

舞台は沖縄県石垣島。サンゴ礁を破壊する大規模な橋の建設計画をめぐる対立の渦中に、環境省の熱血自然保護官、矢島が着任する。美しいサンゴを守るべく、仲間とともに問題解決に立ち向かうが、やがて島中を巻き込む大騒動となることに…… “レンジャー”たちが熱く奔走する、痛快青春エンターテインメント!
青柳翔、田中圭、佐々木希出演でついに映画化! 2013年6月、全国ロードショー。


朝日新聞出版のサイトより引用しました。

空の色、海の色は描くたびに毎回とても悩む部分なのですが、珊瑚礁を描くのは初めてで、悩みもひとしおでした。
石垣島の光に近いものが再現できているかどうか……。

サンゴを守ろうと奮闘する矢島のうっとうしいほどの熱さが意外と心地よい(笑)、読後も心地よい物語です。
私は実は石垣島はもちろん沖縄にすらまだ行ったことがないのですが、絵を描くためにいろいろ調べていくうちに、大変魅力を感じて、死ぬ前に一度は訪れたいと強く思いました。
美しい自然を守りたいという反面、そこに住む人たちの生活というものもあるわけで、この物語の舞台の石垣島に限らず、開発か自然保護かといった議論は人間が自然のなかで生きていく限り必ず避けて通れないものだろうなと思います。
そして、絶対的な正解も出ない問題だろうなと思います。
自分だったらどんな信念を元にどんな道を選択して、それに向かってどう進んでゆくか。
そんなことを考えさせらました。
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