2013年02月

現代語で読む「生まれ出づる悩み」

現代語で読む生まれ出づる悩み (現代語で読む名作シリーズ)

理論社から刊行されました『現代語で読む「生まれ出づる悩み」』(有島武郎氏著・現代語訳 高木敏光氏)の装画を描きました。
「現代語で読む名作シリーズ」の第5作目になります。
今まで刊行された4作品は以下。

現代語で読む「舞姫」 (現代語で読む名作シリーズ)現代語で読む たけくらべ (現代語で読む名作シリーズ)
現代語で読む野菊の墓 (現代語で読む名作シリーズ)現代語で読む坊っちゃん (現代語で読む名作シリーズ)

こうしてみるとカラフル~!
ていうか、今初めて気がつきましたが、このカラーラインナップ、
まるでゴレンジャーのようじゃないですか……!
(ゴレンジャーなんて知らないわっていうナウなヤング世代の方はどうぞ検索してください。必ずこの知識が役に立つ日が来ます。)

かつて、自分の描いた絵を見てほしいと言って、ぼくを訪ねてきた若者がいた。やがて彼は北海道で漁師になる。画家の志と、現実の暮らしの間に生じる青年の深い悩みを、ぼくは想像する。


理論社のサイトより引用しました。
表題作のほか、「小さき者へ」も同時収録されています。

第5弾となったモモレンジャーこと「生まれ出づる悩み」ですが、今回も今までの4作品のときと同様、今回初めて読ませていただいたのですが、いままでのどの作品よりも激しく共感しました。
実家の没落のため、一度は夢見た道を進むことができないという青年の苦悩。
特にこの青年が画家志望であるので、絵を描くことを(才能の面から)かつてあきらめた自分にも、彼の葛藤は彼ほどまでには激烈ではなくても確かに身に覚えのあるものと感じました。

装画は、初めて「私」と会った時の木本少年と、10年後に再会した時の青年木本を並べて描いてみました。
彼の苦悩を映したくて、重い色を置いてます。
おかげでこのちっちゃい画像だとなんだかよく見えませんね……(汗)

この物語の青年のモデルとなった、画家の木田金次郎氏についても少し調べましたが、有島武郎氏の死去のあと画家としてやってゆく決心をしたことや、大火で作品のほとんどを失ってしまったこと、しかしそれ以降さらに芸術性を昇華させ作品をどんどん生み出したことなどを知り、そのドラマティックな半生にとても感動してしまいました。

北海道の木田金次郎美術館にも機会があればぜひ行ってみたい。

「生まれ出づる悩み」、読んだことのない方はぜひ読んでみてください。
お勧めします。
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仕事の答えは、すべて「童話」が教えてくれる。

仕事の答えは、すべて「童話」が教えてくれる。

朝日新聞出版から刊行されました『仕事の答えは、すべて「童話」が教えてくれる。』(千田琢哉氏著)に絵を描きました。

童話にはビジネスのヒントが凝縮されている。「桃太郎」は人脈づくりのコツを、「うさぎとかめ」は目標達成の秘訣を教えてくれている。累計100万部超のビジネス作家が、誰もが知る童話から成功者になるための仕事の「本質」を切り取る。


朝日新聞出版さんのサイトから引用しました。

馴染み深い童話がそれぞれ斬新な視点から解釈、解説されていて、「これをそう読むか……!」と思わせられて、面白いです。

私は中で取り上げられている20の童話それぞれを題材に、現代風にちょっとアレンジした感じで絵を描かせていただきました。
メジャータイトルの絵をこれだけ一気に描くのは初めての経験で、とっても楽しかったです。
絵はババーンと見開きで大きく使っていただいてます。
20点がそれぞれ見開きなので、私の絵の部分だけで40ページ分。
総ページ数が176ページなので、私のページが1/4近く、少なくとも1/5はある計算に。
児童書並み!
また、「はだかの王様」と「金太郎」の絵は装画にも使っていただきました。
と~ってもおしゃれなデザインな本に仕上がっていて感激です。

内容的にも、本のデザイン的にも!ぜひぜひ手に取っていただきたい本です。
ビジネス書のコーナーを探していただけましたら嬉しいです。

小説すばる 2013年 3月号

小説すばる 2013年 03月号 [雑誌]map5_2.jpg

集英社「小説すばる 2013年3月号」掲載、朝井リョウ氏の連載小説「世界地図の下書き」にイラスト2点描いてます。
連載第5回。

朝井リョウさん 祝・直木賞受賞!
いま朝井さんの小説が読める雑誌は、小説すばるだけです!!
ということで今回は巻頭に掲載されてます。

今回は子どもたちがそれぞれことごとくつらい現実にさらされ、読んでいて胸が締め付けられるようでした。
なんでこんなに同時多発的につらい出来事が重なるんだろうか、と大変やるせないです。
特に、夢に向かってがんばっていた佐緒里のどうしようもない絶望感が胸に迫ります。

今回はおばさんのうちの玄関で靴を脱ぐ太輔と、虚脱状態で独りでいる佐緒里の姿を描きました。

子どもたちみんなに幸せになってもらいたいのですが、どうなってしまうのか……。
これからのみんなの行く末が大変心配です。

月刊 J-novel (ジェイ・ノベル) 2013年 3月号

月刊 J-novel (ジェイ・ノベル) 2013年 03月号 [雑誌]bitter02.jpg

実業之日本社「月刊ジェイ・ノベル3月号」小路幸也氏の連載小説「Bittersweet Waltz」に挿絵を1枚描きました。
連載第2回。


〈今回の(ものすごく部分的なことに関する)あらすじ〉

まだ 私の 三栖さんの行方がわからない~~~ッ(涙)

〈あらすじ終わり〉

エグエグと心のハンカチをかみ締め、三栖さんの安否を祈りながら、今回はまたまた弓島珈琲店内を描きました。
前作「coffee blues」から数えると何回か弓島珈琲を描いているのですが、昼の弓島珈琲、夜の弓島珈琲と、自分の中では雰囲気を変えて描いています。
私は丹下さんのいる昼もいいんだけど、静かにレコードの音が流れる夜の弓島珈琲にぜひ訪れてみたい。
そしてできることなら常連さんになりたい。
常連の店って子どものころからの憧れなのですが、まずこの引きこもりの現状を何とかしないとそれも叶わんなあ、なんて、ふと現実に立ち返ってしまいました。
春が来なくてもおんもに出たい。

三栖さんの無事が確認できるまで、物語の行方から目が離せません。
(無事が確認できても離せませんが)
早く三栖さんを描きたいです。描きたいです。(二度言いました。)


余談ですが、ジェイ・ノベル、先月から表紙イラストを大好きな平沢下戸さんが描いてらっしゃるのが個人的にはもの凄く嬉しいです。

林業少年

林業少年

新日本出版社から刊行されました、「林業少年」(堀米薫氏著)の装画、挿絵を描きました。

「百年杉……、こいつは、確かに生きている」

山持ちとして代々続く大沢家の長男・喜樹は、祖父・庄蔵の期待を一身に受けていた。家族から「干物」と陰口をたたかれる庄蔵だが、木材取引の現場では「勝負師」に変身する。冬休み、百年杉の伐採を見届けた喜樹は、その重量感に圧倒された。「何十年後かの山の姿が見えている」という庄蔵が、喜樹には「山の仙人」に見えた。


新日本出版社のサイトより引用しました。

林業が脈々と育て受け継ぎ維持してきた日本の山の姿を知り、そして現在の林業の現状を知り、姉弟が家族とともにそれぞれ山に向き合ってゆく物語です。

物語を読ませていただき、私が夏休みのたびに遊びに行っていたいとこの家のことを思いました。
いとこの家は、林業を営む、山に囲まれた大きな家で、お盆になるとおじ、おば、いとこたちが大勢集まって合宿状態になってそれはにぎやかで楽しかったのでした。
川に釣堀を作ったり、ログハウスを一人で建ててお蕎麦屋さんをやったりもして、夏はそれらの営業もあって、大変忙しい家でもありました。
現在、いとこたちは大人になりましたが、みんな仕事を持ったり家庭を持ったりして家を出ています。
主人公の喜樹の家と同じ、高齢のおじがひとりで山を管理している状況です。

思えば、私はおじの釣堀やログハウスは見ていたものの、山の仕事に関しては一度も見たことが無かった、山に入ったことが無かったことに気がついたのでした。
喜樹の祖父がひとりで守る、また私のおじがひとりで守っている山の姿というものをもっとリアルに知りたいと思い、絵を描くにあたり、おじにお願いして取材させてもらうことにしました。

おじに物語の概要を伝えると、「それはうちと全く一緒だ!」と。
安価で輸入される木材などの影響で、ここ数十年の間に日本の木材の値段は激しく下落して、林業が産業として成り立たない域にまで達しているという現実に直面しているのは、物語に出てくる山だけではなく、日本のどこの山でも同じだということ。
私は子どものころに、山の木々は先祖代々から受け継がれてきた財産なのだと教わっていて、そしてそれは文字通りの意味でした。
いつの間に、木を切り出せば切り出すほど赤字になるような状態に変わってしまっていたのか。
おじに林業の現状を詳しく聞いて、驚きを隠せませんでした。
おじの家の周りの林家はみんな山に手を入れることをやめてしまったそうです。
おじは高齢にもかかわらず一人で山に入って仕事をしていますが、さすがに機械が入れられる範囲の山しかもう管理をしていないということでした。

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おじに取材させてもらって、もうひとつ驚いたことが、山の作業が物凄くかっこいい事でした。
ひらりひらりと軽い身のこなしで数々の重機を乗りこなし、大きな丸太を山から切り出すおじの姿!
ワイルドすぎる!かっこよすぎる!

しかし想像以上に大掛かりな作業をおじひとりでこなしている事実にも驚かざるを得ませんでした。
(驚いてばっかり)
私なんかは山中をちょこっと移動するだけでも四苦八苦でした。
林業の山は登山の山とはまた全然足場の状況が違うのです。
こんな過酷な重労働をおじもいつまで続けていけるのか。
おじの山はどうなってしまうのか。

取材させてもらって、私が得たものは大変大きかったです。
日本の山に対する物語の中の喜樹の祖父の想い、そしておじの想い。
少しでも絵の中に込められれば……と思いながら、絵を描きました。

物語は日本の林業の危機的状況を訴えるだけではなく、今の山に向き合っている、林業に携わる様々な人々の姿が描かれています。
先祖が未来の山の姿を想いながら育んだ木々を伐採し、また未来を想って樹を植え育てていくことのつながりで成り立っていく日本の山。
多くの方々にこの物語を読んでいただきたい、そして日本の林業を知り、日本の山について想っていただきたいと願っています。

迷宮ヶ丘 一丁目 窓辺の少年

一丁目 窓辺の少年 (迷宮ヶ丘)

偕成社から発刊になりました「迷宮ヶ丘 一丁目 窓辺の少年」の装画、挿絵を描きました。

加藤純子、中山聖子、濱野京子、河合二湖、椰月美智子、五人の作家による奇妙な話のアンソロジー。


偕成社さんのサイトより引用しました。
ムムム、紹介文がとっても簡潔……過ぎる……(笑)。

五人の作家の方々の短編集なのですが、どれも不思議な物語ばかり。
物語によってはさいごまでその奇妙な事象から抜け出すことが出来なくて、その先の彼らのゆくえがとっても心配になってしまったりするものもあります。
でも、ちょっと不思議だったり怖かったりする世界って、引力があるというかとても魅力的な世界にも映るから、不思議です。
子どものころによく感じた、身の置き所が不安定な、ふわふわとした感覚。
ひょっとしたらあの感覚が不思議世界の入り口だったのかもしれません。

私は装画2点と、本編中のイラスト大小あわせて27点、みっちり描かせていただきました。
少年少女たちが迷い込むいろんな物語世界を描くことができて楽しかったです。

この「迷宮ヶ丘」はシリーズで、「1丁目」の本作が第1弾となります。
どうやら「5丁目」まで発刊される模様。
2丁目以降は私の担当ではないのでまだ拝読はいたしてないのですが、どんなラインナップになるのか、とっても楽しみです!

対象年齢は小学5、6年ということですが、本を読むのが好きな人でしたら中学年くらいの人でも読めそうかなあ~と思います。
登場人物は小学生だけでなく中学生のものもありますので、中学生の方にもぜひお薦めしたい。
高校生や大人の方も読んでいただけたら、不思議な世界と隣りあわせだった子どものころの感覚がよみがえってくるんじゃないかなあ~と思います。

ニホンブンレツ

【文庫】 ニホンブンレツ (文芸社文庫)

文芸社さんから発刊されました、文芸社文庫『ニホンブンレツ』(山田悠介氏著)の装画を描きました。

山田悠介さんの作品に絵を描かせていただくのは角川文庫「スイッチを押すとき」、「スピン」、文芸社文庫「その時までサヨナラ」、そして先月発刊されました幻冬舎「奥の奥の森の奥に、いる。」に続いて5作目になります。

スイッチを押すとき (角川文庫)スピン (角川文庫)【文庫】 その時までサヨナラ (文芸社文庫)

近未来、対立の続いていた東西日本がついに分裂。
たまたま東京に来ていた広島出身の博文は、突然の分裂で将来を約束した恋人と生き別れになってしまう。
なんとか彼女に会う方法はないか、小学校の教諭をしながらチャンスを待っていた。
ところがようやく潜入した西で目撃したのは、驚きの独裁社会だった。
再会の果てに、2人に待ち受ける驚愕の運命は!?


文芸社さんのサイトから引用しました。

分断時代のドイツのように、東西での行き来が不可能になり、分断されてしまった人々。
誰のための社会なのか、誰のための政治なのか、全く理解に苦しむような状況下に人は置かれます。
この世界のなかでいったら、神奈川県に住む私は東に属するわけなのですが……
西じゃなくてよかった!

この物語の政治的な展開は今の平和な日本から考えると性急で極端な流れで、現状ではありえないように思えますが、しかしついこの前までこの世界の中で存在していた事象に酷似していることだということを考えると「絶対に無い」とは言い切れない恐ろしさがあります。
主人公たちのような権力に対する力や立場が無い私は、こんなふうになってしまった世界に対していったい何ができるのかな、と思うと……。
読んだあと、今の平和を大切に思い、ささやかながら市民のひとりとしてのつとめを果たしていきたいなと思いました。

かなりや

かなりや (ポプラ文庫 日本文学)

2月5日にポプラ社さんから発行されました、ポプラ文庫『かなりや』(穂高明氏著)の装画を描きました。

柔らかで強い力をもった傑作と
書評家の藤田香織氏が絶賛!

「才能をもつ傑出した新人」と池上冬樹氏にも絶賛される著者、渾身の2作目。高校生の広海は、実家の寺の仕事をときどき手伝っている。近所に越してきた同級生のサチと親しくなるが、彼女は母親との関係に苦しんでいて―――東北の町を舞台に、人生につまずいてしまった人たちが再び歩き始める姿を描く、凛としたやさしい物語。



ポプラ社さんのサイトから引用しました。

穂高明氏の作品に絵を描かせていただくのは「月のうた」についで2作目になります。

月のうた (ポプラ文庫)

前作も装画を描かせていただいた「月のうた」ですが、しずかであたたかで、私も大好きな本です。
「かなりや」も、「月のうた」同様、大変人のやさしさを感じることのできる素敵な物語です。
この物語に絵を描かせていただけて、本当に光栄です。

すべての方にお薦めできますが、特に、ほっと息をつきたい方にはぜひ読んでいただきたい作品です。

余談かもしれませんが、この「かなりや」の舞台は仙台なのですが、この作品が書かれた以降に震災によって甚大な被害が発生してしまった土地でもあります。
そうとは気づかず、私は絵を描くために、舞台になっている川の様子を知りたいと検索していたのですが、当然の結果として震災による被害を受ける前後の様子を目の当たりにして、大変心が痛かったです。
静かに温かに人々が送っていたであろう生活が一瞬にして変わり果ててしまった事実をあらためてかみ締めました。

小説屋sari-sari2月号

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角川書店から配信されました、電子書籍版「小説屋sari-sari2月号」にイラストを3点描いてます。

本読み女子におくる、旅と冒険の物語マガジン!
大人気「バチカン奇跡調査官」新章「シンフォニア 天使の囁き」&小路幸也新連載スタート!

「バチカン奇跡調査官」ローレンの失踪に心痛める平賀に舞い込んできた事件は…!? 小路幸也新連載、北の街に秘められた謎を追う探偵は、なんと○○!!「札幌アンダーソング」、古野まほろの話題作『セーラー服と黙示録』外伝が早くも登場!【今号の執筆者】あさのあつこ/綾辻行人/小橋めぐみ/小路幸也/藤木稟/古野まほろ/三浦しをん(50音順)


今月はパティシエなアリスとドードーを描いてみました。
私が毎月楽しみにしている、編集さんによるご紹介文は、

「こちらアリス!
今月はグレーテルちゃんのとこでお手伝いです♪」


うおお……今月もかわいいですわ……!

購読はBOOK☆WALKER他でどうぞ。

yomyom vol.27 2013年冬号

yom yom (ヨムヨム) 2013年 03月号 [雑誌]shio02.jpg

2月1日に発売されました新潮社『yomyom vol.27 2013年冬号』に絵を描かせていただきました。
塩田武士氏の新連載「氷の仮面」に挿絵を一枚描かせていただいております。
連載第2回。

僕はなぜ、“僕”に生まれたんや――。中学生になった翔太郎を
襲ったのは、人間の尊厳をも失わせる苛烈ないじめだった。



新潮社さんのサイトから引用しました。

卑劣ないじめには大変怒りを覚えますが、それを乗り越えて強くなる翔太郎を嬉しく、ほほえましく思いました。
そして中学生らしい甘酸っぱいような、ほろ苦いような思いもしていきます。

彼の抱える問題は、これから先のほうが深刻さを増しそうだなと感じました。

次回が今から待ち遠しいです。
次は高校生の翔太郎の物語かな、と私なりに予想してます。
『yomyom』は季刊なので、次号は3ヶ月も先なのが悩ましい~~っ!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。